データロガーで見るテスト結果。Vol.3(DSC制御の巻)《アーカイブ記事》

(この記事は2011/9/18 に投稿された記事のアーカイブになります)

26日に発売となった“REV SPEED誌”はご覧になって頂けましたか!?先日、富士ショートコースで行なったカーボンLSDとクラッチシステムについてのテスト結果が掲載されていますので是非ご覧になって下さいね。

さて、本日はその誌面でも少し触れているR56JCWの介入制御についてのお話です。正直、自分たちもあまり気づかなかった部分が、今回データローガーを搭載することにより見えて来ましたのでご説明致しましょう。

まずは上の図をご覧下さい。お馴染みのAim製ロガー解析のスクリーンキャプチャなんですが、前回との違いは1段目にフロントのブレーキ液圧を表示させているという点です。エメラルドグリーンのラインが右フロントのブレーキ液圧でパープルのラインが左フロントのブレーキ液圧となり、Y軸方向にあがるほど高いキャリパーへの実測圧(単位:bar)として表示されてます。参考までに今回サンプルしたラップも前回のデータと同ラップとなります。

また少し補足にはなりますが、ブレーキ液圧とはブレーキシステムを稼働させているものですが、ブレーキペダルを踏んだからといって全てのキャリパーに均等に液圧が掛かる訳ではありません。ブレーキバランスは常にモニタリングされ、車両の状態によって適正に配分されています。今回搭載しているAim製のデータロガーでは、その配分された各キャリパーへの個別の液圧も管理出来るのでこのような解析が可能となっているんです。便利ですよねー。

では、本題に入りますね。1コーナーへの進入から立ち上がりの部分を拡大しているのでご覧になって頂きたいのですが、こちらを良く見ると4段目のドライバーによるブレーキ踏圧が発生していない状態の時に、何故か左フロントには約20bar程の液圧が掛かっているのに気づくと思います。一見すると不可解な現象ですが、これはセンサーのエラー表示でもノイズでもありません。

この正体こそ今回判明したR56JCWに実装されている“ダイナミックスタビリティコントロール(DSC)”であり、車両をより安全な方向へ車両自らが制御をした結果といえるものなんです。

状況としてはこうなります。

1コーナーへの進入でドライバーがブレーキをかけると同時にフロント2輪にはブレーキが作動する液圧が発生。車両は減速状態に入ります。

そのままシフトダウンの為のアクセル操作を2度行なって(3段目の赤色のライン)ブレーキをリリース。ブレーキ踏圧は0になり、キャリパーへのブレーキ液圧も一旦は0になります。

そこからシンクロする様にステアリングを左に切り込み(4段目のブルーのライン)コーナーのクリップポイントを超えたあたりから徐々にアクセルを開ける。即ち、立ち上がりの体勢に移った時に、車両システムの判断により左側のブレーキ(コーナーのイン側)を一瞬「ツンッ」とつまんでいる。

と、まぁこんな感じの流れになりますが状況はイメージ出来ますでしょうか!?ちなみにこの制御の意図としてはコーナーのイン側のみにブレーキをかけることにより、タイヤ回転差を生じさせてクルマを旋回させるということになります。賢いですよねぇ。てか、市販車でもこんなことが可能な時代になったんですね。。。

ところで、この制御ですがR56クーパーSには搭載されていない制御で自分たちも今回の解析を行なうまでは気づくことはありませんでした(笑)サーキット走行でのテスト中はDSCボタンを長押しして制御を切っておりますので、ドライバー的にも制御全オフ状態だという意識の中でドライブしていたことは事実ですが、最近のクルマにあるように表示上は全オフになっていても、最後には制御が掛かるということがこれでわかりましたね。。

それにしても各ドライバーが気づかないほど繊細で精密な制御を行なうなんて凄いなぁ。。なんて関心しながらグラフを詳しく見ていたら、制御の介入方法にも少し秘密がありそうなことに気づきました。

その秘密とは、制御の介入のタイミングが全てドライバーの一瞬のアクセルオフが“キッカケ”となっているという点です。介入した場面をよく見て頂くと全てがドライバーによるアクセル操作少しでも行なわれた際であるということが解ります。

他の車種でも良く聞く通常の介入制御では、ドライバーの意思とは違った部分で、いわば車両の勝手な判断(ドライバーによる操作がキッカケとはならない)によって介入が行なわれるようですが、R56JCWではドライバーの運転を補助する様な形で、つまりは今回のように一瞬のアクセルオフなどが行なわれた場合のみに介入を行なうようです。こうした介入制御こそがドライバーにも全く違和感のないものに仕上がっているといえるんでしょうね。

んーさすがはMINI。これはドライバーの操作を最後まで信頼しているということへの現れでもあり、この信頼関係こそがクルマを操る楽しさを演出しているんでしょう。素晴らしい♪

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