高性能アルミホイール《アーカイブ記事》

(この記事は2010/1/20 に投稿された記事のアーカイブになります)

昨年末に行われた『筑波スーパーバトル』のセットダウンより展示車両としての出番が多く、暫く手つかずとなっているR56テストカーですが、2月からの本格的なテストに向けて机上で進められる部分は地道に進めております。昨年は足回りを中心にデータ取りを行ってまいりましたが、今年はエンジン回りもしっかりとしたデータ取りを行い、今後の商品開発に生かしていこうと思います。

さて、昨日はテストカー用に開発を進めておりますサーキットスペック鍛造アルミホイール“Excalibur(エクスカリバー)”の図面が出来上がってまいりましたので確認の為の打合せを行いました。

単純にアルミホイールといっても『アルミ合金』を使用しているという事だけで、素材や製法は各社それぞれの理論により様々な製品として発売されています。その素材にも大きく分けて“展伸材”と“鋳造材”の2種類があり、さらに“展伸材”の中でもJIS(日本工業規格)では、Aという材料記号の次にそれぞれの組成について4ケタの数字がふられて表示されています。よく耳にする『アルミの何番シリーズ』といったのがソレにあたりますが、それぞれ製品の使用用途や加工方法に応じて採用するアルミ合金の素材が分かれています。

自動車用ホイールという用途を考えると、固く強い素材が適しているような気もしますが、一概にそうでもなく、純粋に固いものだと道路にある縁石やキャッツアイにヒットした際に割れてしまったり、重量増の原因になったりもします。また、加工も困難になり製造コストも当然ながら上がってしまいます。最近では加工機械の技術進歩の恩恵もあり、複雑なデザインのものでも製造が可能になりましたが、ひと昔前では凝った“デザイン性の強いもの”は苦手とされてきました。

このようなメリットとデメリットをそれぞれ“良いところ取り”するのが、加工を行う工場の技術であり開発の力量です。これらを加味し、今回は富山県にある日本の鍛造アルミホイール製造の総本山である『TAN-EI-SYA様』にご協力を頂き“Excalibur(エクスカリバー)”の製造を行って頂くこととなりました。

まず、肝心の素材は“A6061”という飛行機や自動車でも幅広く採用されている軽量で強度のあるものを採用します。素材そのものの強度はありますが、先程も述べましたとおり、強い入力が入った際には割れてしまう可能性がありますので“熱処理”を行います。実はこの“熱処理”にも処理条件がいくつかあるのですが、ここでは“T-6”という処理を施します。これは、素材を溶体化処理した後に時効熱処理を施したもので、この工程を行うことにより強度とともに“粘り”が生まれ、アルミホイールとしては最高の素材へと昇華するのです。これこそアルミホイールを製造する際に、最も重要な技術であり他の工場では簡単に真似の出来ない部分といえるでしょう。

また、ディスク面のホイールデザイン部分については、鍛造工程の後に(ディッシュ形状のもの)全てを切削加工により一本一本丁寧に削り出しを行っています。ディッシュ形状からの“削り出し”というのが加工技術及び工作機械の精度の高さを感じますよね。

これら工程を経て作り出される『TAN-EI-SYA様』のアルミホイールは、必要十分な強度とともに驚愕の“軽さ”を兼ね備えています。さらに、特筆すべきはF-1にも採用されるような素晴らしい“ホイールバランス”の精度です。ホイール単体でのバランス調整は必要ないほどで、高速走行時の安定性及び転がりの良さは、クルマのセットアップ精度やドライバーの安心にもつながります。

アルミホイールに求める性能はデザイン性も重要ですが、クルマの『走る・曲がる・止まる』に直結する部分であるがゆえに“機能パーツ”としてもクオリティの高い状態で発表出来るように机上での開発は続いております。

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