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ロールセンター補正《アーカイブ記事》

2020.5.14

(この記事は2010/2/9 に投稿された記事のアーカイブになります)

昨年からのテスト走行時にしばしば問題視していた“ローダウン”における“ロールセンター”の影響。R50シリーズについてはボールジョイントの取付けを“アダプター”で変更することにより補正が可能でしたが、R56シリーズについては構造上“ボールジョイントと取付ブラケット一体式”で作る必要があり、開発コスト面等の問題により、正直、目をつむっていました。

しかし、問題と解決策が分かっていながらもそのまま放置するという事は残念であるとともに、テストを行っている以上“何とかしたい”という強い思いにより、この度、R56シリーズ(JCWを含む)待望の“ロールセンターアジャスター”の開発をスタートさせました。

まずはロールセンターについて、以前にも書きましたが再度おさらいです。

ロールセンターとは…クルマのロールする際の支点となる“仮想上の瞬間軸”のことで、サスペンションリンク形態と角度の組み合わせによる車輪運動の中心点とタイヤの接地点により求められます。

では、これがチューニングにおいてどのように関係するかといえば、皆さんの多くも行っていると思われる“ローダウン”を施した際に非常に重要なかかわりを持ってきます。そもそも“ローダウン”を行う目的としては「車高を下げてカッコ良くしたい」「車高を下げてレーシングカーのように速く走りたい」など様々なニーズがあると思います。純粋に考えると車高を下げた場合、見た目のフォルムも美しくなり、重心位置が下がるので運動性能が上がり一見デメリットはあまりないように思われがちです。しかし、実際には“ロールセンター”が重心以上に下がってしまっている状態で、振り子(重心)と支点(ロールセンター)でいうところの距離は、ノーマル状態以上に広がってしまい不安定な挙動の原因となっているのが事実です。

自動車メーカーがサスペンションを設計するうえでは“標準車高”の状態でクルマの運動性能が最適となるようにリンク類の位置関係をピンポイントで設定しているため、単純に車高を下げた場合、それらは著しく変化してしまい密接な関係にある“ロールセンター”に大きな影響を与え、前記のような現象を引き起こしているのです。

また、リンクレイアウトが変化し1G状態にてアームが外上がりとなった場合には、クルマを“ロールさせようとする力”が一気に増えるため、それを押さえる方法として過剰なレートのスプリング等でサスペンションを固めるほかありません。実際、ローダウンスプリングをはじめとする商品は構造上のこともありますが、バネレートアップを行っているものが殆どです。皆様もご想像のとおり、必要以上にハイレートなスプリングの使用は“ストリートでは不快感を…”“サーキット走行においてはピーキーな挙動など…”様々な影響をもたらします。

これが“ローダウン”というチューニングによって“手に入れたスタイル”の弊害で、いわゆるチューニングにより“失う”ものとなります。

そして…この“失う”問題についての解決策として考えられたのが、この度開発を行う“ロールセンターを適正に補正”することを目的としたチューニングアイテム“ロールセンターアジャスター”ということになります。

先日、弊社では開発のスタートにあたりR56のノーマル車両を用いて、通常のローダウンの際にどの程度の“補正が必要”且つ、物理的にどの程度の“補正が可能”であるかのデータをまとめました。その手法及び数値目標については、ここでは伏せさせていただきますが、補正効果として非常に期待のもてる設計が可能でるという事が明らかになりました。

また、R56シリーズ(JCWを含む)の場合は“取付けブラケット一体式”での製作を行う都合上、併せて“ローダウンにおけるサスペンションジオメトリーの変更”も視野に入れての設計が可能となります。具体的にはハンドリングに大きな影響を与える“キャンバー角”及び“キャスター角”の設定変更です。この基準角の設定変更によりローダウンにより著しく狂ったサスペンションジオメトリーも適正に補正することができ、装着後は見違えるような効果が期待できるといえます。

発売までには今後多くの開発時間を要しますが、必ず皆様にご満足いただける商品であると確信しておりますので、妥協せず、製品クオリティを追求していきたいと考えています。ご期待ください。

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